グラスがざらつくのは、上げていないフィルター

日本のキッチンにおいて、食器洗い乾燥機(食洗機)は毎日の家事負担を劇的に減らしてくれる頼もしい存在です。しかし、洗浄が終わって扉を開け、お気に入りのグラスを取り出したとき、表面が白く曇っていたり、指でなぞると砂のようにざらざらとした不快な感触が残っていたりすることがあります。このざらつきに気づいたとき、私たちが最初にとる行動は、「次回の洗浄では洗剤の量を少し増やしてみよう」「油汚れが多いから高温の強力コースに変えよう」あるいは「乾燥仕上げ剤(リンス)を補充しよう」と、操作パネルの設定や洗剤の種類を変えることです。ステンレスの庫内がピカピカに光って見えるため、汚れが落ちない原因を「洗剤の薬品としてのパワーが足りないからだ」「洗浄モードが弱すぎるからだ」と勘違いしてしまうからです。しかし実際には、食洗機の重い扉は、昨晩の夕食で流し落とされたご飯粒や、カレーの油膜がべっとりと残った部品のすぐ上で閉まっています。最初の対処として私たちが相手にすべきだったのは、洗剤の投入口や操作パネルではありませんでした。グラスに張り付いたざらつきの本当の原因は、一番底に沈んでいる「残菜フィルター(ゴミ受け)」にあったのです。

メーカーや機種を問わず、食洗機の基本的な洗浄の仕組みはきわめてシンプルです。本体の底にある小さなポンプで湯を吸い上げ、プロペラのような数本の回転ノズル(洗浄アーム)から高圧の水を噴射して、食器の汚れを物理的に吹き飛ばします。この限られた量の水を何度も循環させて洗うため、途中で汚れを濾し取るための「きれいな道」が絶対に必要になります。庫内の外へ排出されきれなかった細かな食べカスが網目の残菜フィルターに溜まりきらなくなると、行き場を失ったゴミは再び高圧水流に乗って庫内を舞い上がり、洗ったばかりの同じグラスの内側へと容赦なく戻されてしまいます。水の硬度や洗剤のブランドを次々と変えて仕上がりを良くしようと試行錯誤していた時期がありました。しかし、水質や洗剤の成分はまったく問題ではありませんでした。単純に、見えない底にある残菜フィルターがすでに限界まで満杯だったのです。

もう一つの洗剤

グラスがざらつくからといって洗剤を規定量より多く足すことは、機械の洗浄力を助け、便宜を図っているかのように感じられます。たしかに、ハンバーグを焼いたあとのギトギトのフライパンや、週末に溜め込んだ大量の汚れた皿を洗うような「本当に汚れの強い回」においては、残菜フィルターがすでに清潔に保たれているという条件付きで、洗剤の追加投入が効果を発揮することはあります。しかし、見た目は洗えているように見えるのに触るとざらつくグラスに対して洗剤を増量すると、多くの場合、ざらつきの上にさらに洗剤の溶け残りの成分が被さり、白っぽい被膜を残す結果になります。この「洗剤の膜」と「食べカスのざらつき」は全く異なるものです。指でこすってみればすぐに分かります。食べカスのざらつきは物理的な粒なので爪で削り取ることができますが、洗剤の膜は化学的な成分の残留なので、こすると油のようににじんで広がります。

設定を通常コースから「高温コース」や「強力コース」に変更することも、洗剤の追加と同じ方向の誤った対処です。ポンプからの高圧水流が食器を並べたカゴの隅々までしっかりと届いている状態であれば、高温のお湯は冷えた油汚れを素早く溶かして動かしてくれます。しかし、残菜フィルターが完全に目詰まりを起こし、回転ノズルの水の勢いが弱まっている状態では、いくら温度を上げても、底に溜まった汚い水たまりをグツグツと温めているだけにすぎません。洗い上がったグラスは火傷しそうなほど熱くなって出てきますが、表面のざらつきはそのまま残っています。

日本の家庭で食洗機を使う際、お皿の上の大きな食べ残しは、庫内へ入れる前にゴムベラなどでシンクのゴミ受けへこそげ落としておくのが基本です。ただし、食洗機に入れる前にすべての食器を手洗いでピカピカに光らせる必要はありません。最近の食洗機は汚れの度合いをセンサーで感知しているため、お皿がきれいすぎると「すでに汚れは落ちた」と判断して洗浄時間を極端に短く区切ってしまい、結果的に洗い残しが生じることがあるからです。一方で、事前にこそげ落とすべき皿の汚れと、完全に詰まってしまった残菜フィルターの問題は、まったく別の議論です。前者は「食器の正しい載せ方」の話であり、後者は「排水が機能せず汚水が流れない」という機械的な致命傷の話です。また、黒焦げになった鍋やフライパンは、食洗機ではなくシンクでお湯に浸け置きして落とします。食洗機はなんでも灰にする高温の窯ではありません。炭のように固まった焦げの破片を残菜フィルターへ大量に送り込んでしまうと、たった一度の夕食の片付けが、一週間分のグラスをざらざらに傷つける原因になります。

皿とカトラリーが整然と並べられた食洗機の食器カゴ。きれいにセットされているように見えても、一番下にある網目の残菜フィルターには昨夜の食べカスが手付かずで残っていることがあります

ざらつきの中身

日本の水道水は軟水ですが、それでもカルシウムなどのミネラル分が含まれているため、グラスに白い斑点(ウォータースポット)が残ることがあります。この硬い水の斑点は「霞」のようなものであり、クエン酸などの酸性の成分を含んだ布で拭けばきれいに消え、指で触っても砂のような引っかかり(噛む感覚)はありません。一方で、残菜フィルターの詰まりが原因で発生する物理的な「ざらつき」の正体は、細かく砕けたパスタの破片、果物の種やゴマ、卵のタンパク質の固まり、あるいは納豆のネバネバに絡まったご飯粒などです。これらが排水されずに底に留まり、回転ノズルの水流によってもう一度庫内へ投げ上げられてグラスに付着しているのです。洗い上がったグラスを数個取り出して重ねたときに、ガラス同士がこすれて薄い砂のようなジャリッとした音が鳴るなら、それは乾燥仕上げ剤(リンス)の不足が原因ではありません。間違いなく、残菜フィルターが原因です。

洗浄コースを開始した直後や、扉を開けて待機しているときに漂う独特の嫌な匂いも、これとまったく同じ構造の問題です。汚れた網目の周りに溜まったまま排出されない少量の水が、庫内の密閉空間で腐敗して酸っぱく匂っているのです。柑橘系やフローラルの香りが強い高価なタブレット洗剤を使えば、洗浄中の高温の蒸気に良い匂いを付けることはできますが、網目に詰まった物理的なゴミが魔法のように消えてなくなるわけではありません。お湯で熱する前の、扉を開けた常温の段階ですでに不快な匂いがするなら、洗剤の銘柄を別のものに変える前に、まずは一番底の残菜フィルターを引き上げて洗うことが求められます。

このざらつきの問題は、真っ白なプラスチック製の保存容器や、透明なガラスのタンブラーで一番最初に発覚します。なぜなら、私たちがそれらを戸棚にしまう際に、無意識に手で持ち上げて部屋の照明の光にかざして見るからです。陶器の平皿やどんぶり鉢にも同じように食べカスは付着しているのですが、それらは翌日の食事で濃い色のソースやおかずの下に隠れてしまうため、すぐには気づきません。グラスの素材だけが特殊で汚れを引き寄せているわけではなく、手に持って光を通す形状だからこそ、フィルターの異変を真っ先に教えてくれているのです。

ねじって外すカップ

日本で主流となっている引き出し式(スライドオープン)の食洗機であれ、大容量のフロントオープン式の食洗機であれ、多くの庫内は、下段の食器カゴを引き出したさらにその下の床面に、粗い金属のメッシュトレイと、細かなゴミをキャッチする円筒形のプラスチック部品(残菜フィルター)を隠し持っています。取っ手をつまんで軽くねじり、上に引き上げ、キッチンの蛇口の下へ持っていき、お湯ですすぎながら絡みついた野菜の皮やご飯粒を物理的に取り除きます。細かい網目に入り込んだゴマやデンプン質の汚れには、専用の小さなブラシや使い古しの歯ブラシが非常に効果的です。ただし、細いステンレスの網目の形を強い力で押し潰さないように注意します。洗い終わって庫内に戻すときは、必ず「カチッ」と音がする定位置まで確実にねじって座らせます。正しく座っていない状態でロックが甘いと、隙間から漏れ出した食べカスがフィルターの網目を完全に避けて素通りし、次の洗浄で大量のざらつきを庫内全体に勢いよくばらまく大惨事になります。

この残菜フィルターの掃除の頻度は、グラスがざらつき始めたときが絶対的なサインですが、毎晩のように自炊をして忙しく稼働している台所であれば、少なくとも週に一度は確認すべきです。特に、ご飯やうどん、オートミールといったデンプン質の多い粘り気のある食事をした日のあとは、網目が塞がりやすいため注意が必要です。外食が多く、紙皿のような軽い汚れしか出ない静かな家であれば、間隔はもっと長く空けられます。しかし、日本の食卓に欠かせないお米を毎日炊き、納豆や卵焼きを頻繁に食べる家では、フィルターの掃除をサボることはできません。カレンダーの日付はあくまで「そろそろ確認しよう」と思い出すための合図にすぎず、実際のフィルターが汚れているのに「まだ一週間経っていないから」という理由で掃除を見送ってよい理由にはなりません。

食洗機の扉から嫌な匂いが漂ってきたとき、香りの強いタブレット洗剤を放り込んで「庫内洗浄コース(空の熱いコース)」を回すことがあります。しかし、残菜フィルターに大量の生ゴミが溜まったままその高温の熱を加えると、すでにそこにある野菜くずや油を密室でグツグツと蒸し焼きにしている状態になります。順番として、真っ先にやらなければならないのは、残菜フィルターを外して中身を空にすることです。その物理的なゴミ出しを終えたあとに回す庫内洗浄コースであれば、普段の食器が入った状態ではお湯が届きにくいドアのゴムパッキンの裏側や、庫内の四隅にまで強力な水流が届き、見えない油汚れを確実に剥がし落としてくれます。残った食べカスの上にいくら洗剤の香りを重ねても、それは悪臭を含んだ蒸気を一時的に隠しているだけにすぎないのです。

また、庫内の底や中央で回転している洗浄ノズル(アーム)には、水を噴射するための小さな穴がいくつか開いています。この穴にオレンジの種や小さなゴマがぴったりと挟まって詰まっていると、そこから噴射されるはずだった水流(噴流)が完全に死んでしまいます。「食器カゴの右半分だけがいつも汚れが落ちない」といった偏りがある場合、一度食器カゴをすべて引き出し、回転ノズルを指で軽く回してみて、すべての穴が塞がっていないかを明るい場所で確認します。ほんの一分で終わるこの穴の確認作業が、これから先の一ヶ月間、無駄に強力コースを回して電気代と時間を浪費するのを確実に省いてくれます。

リンスが本当の仕事のとき

では、乾燥仕上げ剤(リンス)という製品はまったく無意味であり、買うのをやめて捨てるべきなのでしょうか。決してそうではありません。リンスは、最終のすすぎの際に水に混ざることで表面張力を下げ、食器の表面についた水を薄いシート(膜)のようにしてツルリと流れ落とし、乾燥時間を短縮して水垢の斑点を劇的に減らしてくれます。日本の軟水環境であっても、リンスのタンクが空になっていることが原因でグラスが薄く曇ることはあります。操作パネルに「リンス不足」のランプが点灯したら、指定の場所に補充します。ただし、リンス不足による曇りは、残菜フィルターの詰まりによるざらつきとは全く異なる現象です。リンス不足の曇りは、指で触るとガラス本来のなめらかな感触であり、決して砂のようにジャリジャリと噛むことはありません。

洗浄不良の原因としては、食器の「載せ方(並べ方)」の影響も大きく残ります。深めのお茶碗や汁椀を高台(底のへこみ部分)が上を向くように水平に重ねて配置してしまうと、そこに洗浄水が大きな湖のように溜まり、乾燥工程に入っても絶対に乾きません。また、下段のカゴに巨大なプラスチックのまな板や大皿を壁のように立ててしまうと、下から突き上げるノズルの水流を完全に塞いでしまい、上段カゴに並べられた小鉢やコップが水に飢えてまったく洗われない状態になります。カトラリー用の小物カゴに無造作に放り込んだ長い木製の菜箸が、カゴの底から突き抜けて回転ノズルに物理的にぶつかり、回転を止めてしまっているという初歩的なミスもよく起こります。これらは、洗剤の量を通常の三個分に増やしたところで絶対に直りません。水流を邪魔している障害物を手でどかし、正しい向きに並べ直してから、すでに設定してある標準コースのスタートボタンを押し直すしかないのです。

一度に洗う枚数を増やそうとして、食器同士の隙間がないほどギュウギュウに詰め込みすぎた食洗機も、形の違う同じ問題を抱えています。空気が通らないから乾かないのではなく、汚れを吹き飛ばす「水の噴流」が食器の表面に届かないのです。食器と食器のあいだには必ず水が通る隙間を残し、最も汚れている面を水流の噴射口(中央や底面)へ向けて並べます。食器カゴに備わっている可動式のピン(トゲ)は、大きなお皿や鍋を置きたいときにだけ倒して使い、空間を適切に確保します。ほんの少しの隙間を惜しんで、大きなマグカップを無理やり一本だけ上段カゴに押し込んで水流を乱すと、結果的にすべての食器が洗い直しになり、「時短」のために食洗機を買ったはずなのに、また洗剤と時間と水道代を追加で浪費することになります。

次の回の前に上げる

毎日の食洗機をトラブルなく運用するためには、食器を入れる前のほんの少しの確認作業が鍵になります。扉を開けたら、まずは下段の食器カゴを手前に完全に引き出します。一番底にある残菜フィルターの取っ手をねじって持ち上げ、金属の細かいメッシュがはっきりと本来の銀色を見せるまで、キッチンの蛇口のお湯でさっとすすぎます。同時に、回転ノズルの穴に種などが詰まっていないかを視認します。そして、洗ったフィルターを確実な位置に座らせてロックします。その一連の動作を終えてから初めて、その回の汚れ具合に応じて洗剤の量を少し足すかどうかを決定します。実際には、グラスがざらつくほど汚れている週の多くは、洗剤を規定量以上に足す必要など全くありません。

洗浄が終わって扉を開け、洗い上がったばかりのグラスを二つ手に取り、ごく軽く重ね合わせて当ててみます。そのとき、薄い砂がこすれ合うような「ジャリッ」という音が鳴ったなら、それは最も早く、確実に異常を知らせてくれる確認方法です。操作パネルの電子音は正常終了のメロディを鳴らし、庫内のラックに並んだ食器は一見するときれいに整って見えます。しかし、あなたの耳は、残菜フィルターが昨晩の夕食の残りをグラスの縁に吐き戻してしまったという事実を、正確に告げています。その場合は、グラスを取り出してもう一度洗い直すコースのボタンを押す「前」に、必ず底の残菜フィルターを外して中身を空にします。フィルターを空にする前ではありません。満杯に詰まったフィルターの上から、再度強力な熱いコースを回したところで、同じ食べカスのざらつきを再びグラスにぶつけて戻すだけです。きれいに洗われたフィルターがセットされたあとならば、特別な洗剤など使わずとも、ごく普通の標準コースと適量の洗剤で十分にツルツルに仕上がります。重い強力コースは、頑固な油汚れがこびりついた鍋やフライパンのために用意された機能であり、昨シーズンから一度も触って手入れをしていない残菜フィルターの詰まりを突破するための機能ではありません。

では、残菜フィルターさえ常にきれいに洗っておけば、食洗機の庫内は絶対に酸っぱい匂いがしないのでしょうか。現実の暮らしはそう単純ではありません。秋刀魚などの油の多い焼き魚を乗せたお皿を連続して洗い、さらにフィルターのゴミ捨てを週末までサボって満杯のまま放置してしまえば、たとえフィルターの網目自体が破れていなくても、庫内はまたすぐに生ごみのように酸っぱく匂い始めます。仕上がりの良い家と悪い家の差は、問題が起きたときに「一番最初に手を伸ばすものが何か」という行動の順序です。乾燥仕上げ剤(リンス)は、水をシート状に流し落として水垢を防ぐためのものです。粉末や固形の洗剤は、お皿に付着している油汚れを化学的に分解するためのものです。そして残菜フィルターは、食器の表面からすでに離れて物理的な塊となった生ゴミを受け止めるためのものです。熱いコースで洗い終えたあとのグラスが、指先でジャリジャリと噛むようなざらつきを残しているなら、洗剤の洗浄力が弱いと決めつけて別のメーカーの製品をネットで探す前に、まずはその一番底にあるプラスチックの部品を上に引き抜いて、溜まった汚れを外へ出したかどうかを確認しなければなりません。

以前の私は、食洗機の扉を開けるたびに漂う薄甘く酸っぱい匂いと、一向に光沢を取り戻さないグラスの曇りに悩み、何ヶ月ものあいだ、海外製の高級な乾燥仕上げ剤(リンス)や洗浄力の強いタブレット洗剤を継ぎ足し続けていました。しかしある日、思い立って底の残菜フィルターを引き上げてみると、そこには湿ってヘドロのようになった一週間分の生ゴミがぎっしりと詰まった状態で出てきました。それを風呂場で古い歯ブラシを使って徹底的に洗い流し、きちんと元の位置にロックしたあとに回した「ごく普通の標準コース」が、これまで高価な特別な洗剤にひたすら頼り切っていた仕事を、たった一回で完璧にこなしてくれました。リンスをいくら上限まで足したところで、ゴミが満杯のままのフィルターは、永遠に満杯のままだったのです。

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